2008 Fiscal Year Annual Research Report
談話理解モデルを利用した日英語名詞句の分布と選択にかかわる語用論的研究
Project/Area Number |
18520306
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉田 悦子 Mie University, 人文学部, 准教授 (00240276)
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Keywords | 語用論 / 指示表現 / 談話 / 計算言語学 |
Research Abstract |
20年度は最終年度にあたり、「日本語話し言葉コーパス」より4対話分とBNCおよびICE-GBにおける対話データのうちそれぞれ2対話分、計8対話を抽出し、地図課題対話コーパスの生起パターンと比較し、話しことばにおける一般化された現象としてとらえられるかどうかの可能性を探ることを目的とした。対話データを含むコーパスを購入し、地図課題対話コーパスと比較しつつ、データ分析を現在継続しておこなっている。自然発話は課題対話とは達成目標が異なるため、分析に工夫が必要であるが、具体的な成果としては、話題の中心になっても代名詞化されない名詞句の連鎖現象が同様に観察されたことである。このことにより、談話指示と談話の整合性に関する仮説を補強すると共に、一般化して議論する可能性が開かれたことは重要である。 センタリングモデルおよびキャッシュモデルの妥当性についての評価はまだこれからであるが、今年度の成果として対話におけるグラウンディング成立にかかわる現象に注目した共同研究を立ち上げたことは意義深い。この点については、12月にイギリスの研究協力者と研究打ち合わせを行い、共同論文にまとめており(吉田・Lickley2008)、次年度共同セミナーの開催も計画されている。この研究は、談話指示の使用パターンと言い淀みが共起する対話プロセスはグラウンディング過程に寄与しているという仮説を検証することを基盤としている。今後は対照言語的視点をふまえた定量的分析が課題である。 また、今年度の研究の成果は国内のNLP学会において、上記の論文を含む3篇の発表をおこない、発表論文集に掲載されている。3年間にわたる研究成果については、研究代表者が責任をもってとりまとめ、英文で研究論文として印刷物に纏め上げ、関係方面へ送付した。今後、関連する学会誌への投稿を段階的におこない、成果を公表していく予定である。
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Research Products
(5 results)