2008 Fiscal Year Annual Research Report
旧ユーゴスラヴィアのメディア、言語、アイデンティティー
Project/Area Number |
18520307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三谷 惠子 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10229726)
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Keywords | 旧ユーゴスラヴィア / コソヴォ問題 / クロアチア / セルビア |
Research Abstract |
平成20年度は、前年度に引き続き、現在の旧ユーゴスラヴィアとくにコソヴォ独立を承認しないセルビアの状況に注目し、コソヴォ問題がどのようにメディアで伝えられているかについて観察した。またクロアチアとスロヴェニアの間に長年存在する国境問題が、スロヴェニアによるクロアチアの欧州連合加盟交渉ブロックという事態に至り、両国のメディアがこの問題を鋭く論じている事態にも注目した。これらについては、平成21年度の研究に引き継ぎ、現状をまとめる予定である。また平成20年度には、メディアが果たした歴史的役割に注目し、19世紀のクロアチア民族運動の推進力となったDanica Ilirska誌ならびに同時期に刊行されたKolo、Zora Dalmatinskaの比較に着手した。これについても、平成21年度に継続して研究する。 平成20年9月には、マケドニアのオフリドで開催された国際スラヴィスト会議に出席し、報告を行った。この国際会議出席のための旅費に本科研費を利用することができた。報告は南スラヴ語の文法に関するものであったが、会議会場でさまざまな国のスラヴ関係専門家と意見交換をすることができ、本課題研究の実施という観点からも有益であった。 平成20年10月にはロシア東欧学会で、南モラヴィアに移住したクロアチア人の言語についての口頭報告を行った。この研究は本課題研究のテーマに直接関係するものではないが、言語とアイデンティティーの問題を多角的に考察するという意味で、本課題研究の考察にも連なるものと位置づけられる。
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