2007 Fiscal Year Annual Research Report
カシュカイ語の言語構造についての記述的・理論的研究
Project/Area Number |
18520316
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
栗林 裕 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (30243447)
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Keywords | カシュカイ語 / トルコ語 / 言語接触 / チュルク語 / ペルシア語 / 形態論 / 統語論 / モダリティ |
Research Abstract |
カシュカイ語はトルコ語と同じチュルク語南西グループに属していながら、非常に特異な統語法を持つ言語である。統語法のみ近隣言語のペルシア語から借用し、語彙はチュルク語系のもの用いるような言語はチュルク語全体の仲で占める割合からすると少数派である。理論的に意味のある学術的な貢献をするためには的確な言語記述と同時に言語理論との関連を考慮しつつ考察していく必要がある。本研究では理論的に興味深いカシュカイ語の言語資料を一般言語理論に関心を持つ非トルコ語研究者や現代トルコ語研究者にアクセス可能な形で提示し、知識の共有を進めていくことで理論的研究との連携を図る。 本年度は重点項目として「統語構造の体系的調査」という項目を掲げて研究を進めた。具体的には過去に行った現地での予備調査により問題点が明らかになった自由語順に深い関わりがある以下のような項目について重点的に体系的調査を行った。1)語順のバリエーション 2)名詞の編入 3)焦点位置 4)モーダル表現 5)他動詞と自動詞 関連する理論言語学の文献や周辺言語に関する資料の収集も同時に必要となるため、主に国内において資料収集を行った。今年度は比較的ペルシア語化が著しいカシュカイ語の音声資料を用いて基礎語彙と統語法の概略についての記述調査を行った。また言語接触理論に関する資料を収集し、言語変容の要因について重点的に考察を進めた。本年度の公刊論文以外の実質的な研究成果は概ね以下の通りである。 研究論文:トルコ語の他動詞と自動詞(仮題)未公刊論文 研究発表:「チュルク語南西グループにおける接触による言語変容について」チュルク諸語における固有と外来に関する統合的調査研究 2007年研究報告会(九州大学平成20年2月16日)2008 "Contact induced changes in southwestern Turkic -emergence of analytic strategy for modals-" The 14th International Conference on Turkish Linguistics(6-8 August 2008開催予定, Side, Turkey, Ankara University)研究発表採択
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