2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国保安族の消滅の危機に瀕した言語、保安語積石山方言にかんする調査研究
Project/Area Number |
18520319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 暢治 広島大学, 大学院教育学研究科, 講師 (90263657)
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Keywords | 保安語 / 危機言語 / モンゴル系言語 / 現地調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国の甘粛省臨夏回族自治州積石山保安族東郷族撤拉族自治県大河家鎮大〓村、甘河灘村などに居住する保安族16,505人(2000年)が話しているモンゴル系の言語、保安語積石山方言を危機言語の観点からフィールド調査をおこなったうえで、その調査結果を公刊することにある。そして同時に、得られた研究成果を保安語の次世代への継承のため、現地社会に還元することにある。それぞれの村で話されている保安語積石山方言は村の名前にちなみ、大〓保安話、甘河灘保安話など呼ばれているが、言語資料が乏しいことに加え、近年若年層を中心に漢語化が著しく、遅かれ早かれ消滅の可能性がある言語として、今、詳細な調査が求められている。 本年度8月、中国の甘粛省において、まず甘粛省で少数民族文化の保護政策に関わっている甘粛省文化庁の長、馬少青氏と臨夏で保安語の次世代への継承について意見交換をし、筆者がそこにどのように関わりを持つことが可能なのかを話し合った。次に、積石山保安族東郷族撤拉族自治県大河家鎮において保安語積石山方言の調査をおこなったが、そこで得られた成果は下記のとおりである。 1.大〓保安話の基礎語彙と民話「大工とその妻」の採集。数詞の「-」を表す形式の文法化、指示詞の現場指示用法など、文法項目の調査。 2.甘河灘保安話の基礎語彙の採集。 3.保安族の民族文化を代表する「保安腰刀」の名称、部位名称、及び歴史に関する調査。
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