2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本語のかき混ぜ構文における項とヘッドの依存関係の成立
Project/Area Number |
18520322
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中野 陽子 Kochi University, 人文学部, 准教授 (20380298)
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Keywords | 日本語 / かき混ぜ構文 / 語順 / 関係節 / 先行詞 / 統語解析 / ワーキング・メモリー |
Research Abstract |
日本語のかき混ぜ構文における項とヘッドの依存関係の成立について、オンライン・オフラインの実験を行い、2つの方向から先行研究の結果と比較検討した。 1.昨年に引き続いて、関係節付加曖昧構文において関係節内の空範疇と関係節のヘッドとの依存関係成立に、基本語順とかき混ぜ語順やワーキングメモリ(WM)容量の個人差は関係節内の空範疇と関係節のヘッドの依存関係成立にどのように影響するのか、を調べた。 高スパン群では基本語順よりかき混ぜ語順の方がより多く高位接続名詞句を選択する傾向が観察されたが、低スパン群ではそのような変化が見られなかった。日本語では高位接続が好まれるという先行研究の結果を支持しているが、WM容量の個人差が、どの先行詞との間に空範疇との依存関係が成立するのかに影響することが示唆された。また、先行研究では、かき混ぜ語順は基本語順よりも多くWM資源を必要であるとされているが、本研究のような構文ではかき混ぜ語順の方が基本語順よりも少ないWM資源を必要とすることが示唆された。 2.間接目的語をかき混ぜ詞とする構文で、動詞の持っている項構造情報がかき混ぜ詞の再活性化の度合いにどのような影響を及ぼすのかについて、共同実験研究を行った。日本語では、構文の最初の部分を処理しているときには、後にどのような動詞が現れるのかわからない。本研究では、予測を立てながら処理を進めること、予測と実際が異なる場合には活性化された情報が非活性化されることを示唆する結果が得られた。今後、更に実験結果の分析を進め、詳細について検討する必要がある。 1つ目の課題について、第二言語としての日本語を対象に調査を行った。被験者は中国語を母語とする中級の上または上級レベルの日本語学習者だった。日本語に堪能な学習者でも、日本語母語話者と同じ傾向を示すとは限らないことが示唆された。更に研究を進めれば、外国語教育に還元できる可能性がある。
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Research Products
(7 results)