2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520333
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
呼和 巴特爾 Showa Women's University, 人間社会学部, 准教授 (80338540)
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Keywords | モンゴル語 / 近代語彙 / 意訳語 / 漢字語 |
Research Abstract |
東アジアの非漢字圏における言語の近代化はこれまで学界であまり注目されなかった。本研究では、20世紀前半の内モンゴルにおけるモンゴル語の出版状況に鑑み、主として、モンゴル語の古い定期刊行物の収集、調査、分析を行ないながらモンゴル語近代語彙の形成-漢字語からの意訳語の成立、または、淘汰した歴史的過程を考察している。 19年度の実績報告としては、次の三点を挙げることができる。(1)日本にも多く所蔵されている20世紀前半に中国各地で発行されたモンゴル語定期刊行物について、最近十数年来の内外における調査や研究状況についてまとめ、その成果を論文として発表した。日本や中国、韓国では特定の辞書や書籍が近代語彙研究の言語資料として重要な手がかりになることが多いが、モンゴル語の場合はそうした資料がほとんどなかったため、古い定期刊行物の収集と分析はこの研究において欠かせない作業である。(2)モンゴル国での資料調査で、2006年に文献資料としてモンゴルで刊行された『萬国公法』(Henry Wheaton.Elements of International Law.1836)のモンゴル版を入手した。1911年以前に外モンゴルで中国語から翻訳されたと考えられている『萬国公法』のモンゴル版(手書き)は、1937年にモンゴル科学アカデミーから出された『モンゴル国立図書館所蔵図書目録』の中でも発行(翻訳)年代不明、翻訳者不明であったが、この訳書は、モンゴル語近代語彙の形成における中国語の影響について考えるうえでたいへん重要な資料になるではないかと考え、今後の研究に生かしたいと期待している。(3)小規模であったが、中国の大学の日本語学科の学生たちに対し、現代日本語と現代中国語の漢字語彙に関する意識調査を行った。これは日本語と中国語に共通の漢字語彙が多いことを不思議に思っていた報告者の学生時代の経験によるもので、東アジアにおける近代語彙の交流について考えるうえで若い世代を啓発する意義があると思う。
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Research Products
(1 results)