2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語の心態詞の意味・機能と音声的特徴および日本語との比較・対照
Project/Area Number |
18520337
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生駒 美喜 Waseda University, 政治経済学術院, 准教授 (90350404)
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Keywords | 音声 / 談話 / ドイツ語 / 意味 / 韻律的特徴 / 会話分析 |
Research Abstract |
研究代表者は昨年度末(2008年2月)に連携研究者と共に「心態詞schonの心態的、時間的機能について」というテーマで口頭発表を行い、これまで収集した心態詞schonを含む2つの短文の発話データ(ドイツ語母語話者10名分)の音響分析の結果を基に考察を行い、同時に、これまで収集した対話データを語用論の側面から分析し、実際にschonがどのような状況で用いられるか、その研究成果を発表した。本年度前半は、この口頭発表の内容を連携研究者と共同で論文の形に執筆し、来年(2009年)発行予定の論文集に投稿した。 この論文では、心態詞schonの音響的特徴について、特に1)局所的特徴(各音節における持続時間・強さ・基本周波数)と2)全体的特徴(心態詞schonを含む発話全体における基本周波数曲線の傾きと、基本周波数の変動幅)に着目して結果を考察した。その際、被験者間での差異や被験者内での差異についても統計分析を行った。その結果、2)の全体的特徴として、基本周波数曲線の全体的な傾きにおいて被験者に関わらず一定の特徴か見られていた。例えば、schonが強い反論(「〜だよ!」)を示している場合、その傾きは文頭から文末にかけて大きく下降し、一方、schonが限定つきの肯定を表す場合(「確かに〜だと思うが(しかし)」、その傾きはほぼ平坦、もしくは若干文末にかけて上昇していた。 来年度の予定として、今回分析対象とした音声データを用いて聴取実験を行い、意味を判断するのにどの音声特徴が決定的要因となっているのか探ると同時に、今回の実験で扱えなかったschonの母音を音響分析し、意味との関連性を明らかにしたい。
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