2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語の心態詞の意味・機能と音声的特徴および日本語との比較・対照
Project/Area Number |
18520337
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90350404)
|
Keywords | 声音学 / 独語学 / 意味論 / 談話研究 / 韻律的特徴 |
Research Abstract |
2010年度前半は、昨年度後半から引き続き、これまで先行研究で言われてきた心態詞schonの「確信」「制限付き肯定」 「反論」「時間」という4つの意味・機能に加え、会話分析の結果をふまえて新たに「驚き」と「確認」という2つの意味・機能を含む合計6つの意味・機能について、ドイツ語母語話者による発話実験を行い、その発話について音響分析を行った。音響分析においては、1)発話文の各音節における持続時間、2)各音節における振幅、3)各音節における基本周波数(FO)、4)FO開始部分とFO終了部分(発話文全体のFOの傾き)5)発話全体の持続時間、を測定した。 発話分析の結果、これまでの実験では得られなかった「反論」のschonについて、schonに強いピッチアクセントがおかれるケースがあった。またこのピッチアクセントは「制限付き肯定」の場合にもみられるが、さらにこのアクセントを詳しく分析したところ、「反論」のschonにおけるピッチアクセントはFOの変動幅が大きく、FOのピークが遅れて現れるという特徴が見られた。一方で、被験者によっては、「反論」のschonにピッチアクセントが置かれない場合があった。これらの発話は、「確信」の発話と非常に似た韻律的特徴を示しているが、「確信」と比較してFOの変動幅が大きくなるヶースも見られた。「驚き」「確認」の2つの意味・機能については、測定した部分では「時間」のschonと差異はみられなかったが、「驚き」の場合、全体的な発話速度が遅くなるという傾向が見られた。 このうち一部の研究成果について、5月末に行われた日本独文学会春季研究発表会(慶應義塾大学目吉キャンパス)のシンポジウム「心態詞の音声と意味:新しい研究手法の開発にむけて」において口頭発表を行った。またその発表内容について、連携研究者と共同で論文執筆を行った。
|
Research Products
(1 results)