2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
森澤 万里子 福岡大学, 人文学部, 助教授 (70279248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 さよ 福岡大学, 人文学部, 教授 (10117278)
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Keywords | 社会言語学 / 独語学 / 英語学 / 独語史 / 英語史 / 関係詞 |
Research Abstract |
研究代表者の森澤(独語史専門)と研究分担者の柳(英語史専門)はドイツ語と英語における関係詞の体系の展開をそれぞれ社会言語学的観点から調査した。 森澤は19世紀のドイツ語文章語において出現頻度が高かったと言われる関係詞welcherの衰退過程を書き手の社会層との関連で説明する試みを行った。その際、先行文献の、農夫や職人等の私的テクストでは1890年頃からwelcherの後退が見られるという記述を踏まえ、中流階級に属する人物Josua Hasencleverの私的書簡に関して抜き取り調査を行った。その結果、19世紀前半に書かれた彼の書簡では既にwelcherの使用頻度がかなり低いことが分かった。当時,自然な語り口をよしとした上流階級では私的書簡における口語性が見直され始めていたことから,社会層が下の者ほど文章語特有の雅語であるwelcherを多用する傾向が長く続いた可能性があることが明らかになった。 オックスフォード大学ボドリアン図書館所蔵の12世紀英語写本Bodley 343を調べた柳は、Life of Martinの部分について、アルフリックの対応部の文体との比較を試みた。それに引き続き、古文書学、語彙選択、統語、韻律、社会言語学の視点から、Bodley343を含む12世紀のいわゆる‘cut-and-paste homilies'の関係節でもアルフリックの文体の特徴であると考えられる前置詞の反復が見られるかを調査した。その結果、アルフリックのテクスト、アルフリック以前の説教集、ラテン語原典からと思われる例がそれぞれ数例見られた。そこでは古英語の用法が殆どそのまま転写されたが、アルフリックに見られた頭韻には十分な目配りがなされなかった。この調査結果はこの種の写本の果たした英語発達史および社会言語学上の役割、説教の聴衆、古英語の説教集との関係をさらに解き明かすのに役立つものと考えられる。
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Research Products
(2 results)