2006 Fiscal Year Annual Research Report
音声の遺伝-音声の個人差を規定する音響・生理学的要因
Project/Area Number |
18520342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
苅安 誠 九州保健福祉大学, 保健科学部, 助教授 (00320490)
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Keywords | ヒト音声human speech / 遺伝の影響genetic influences / 音響分析acoustic analysis / 生理学的計測physiologic measures / 双生児twins / 口腔内圧intra-oral air pressure / 空気力学的測定aerodynamic measurement / 声道vocal tract |
Research Abstract |
音声への遺伝の影響を明らかにするために、個人音声を規定する音響・生理学的要因に関する研究を行った: (1)測定機器(センサ・アンプで組み立てた試作器、本年度調達した測定システム)を用いて、生理学的計測(口腔内圧他)を実施した。 (2)双生児と幼児の発語の音響分析により、子音/r/の閉鎖音化〔d〕(Noise burstやStop gapで示された)が双生児間でより一貫していること、語の持続時間に年齢の影響があること(低年齢で有意に長い)がわかった。 (3)空気力学的計測の基準的方法を確立するために、両唇音で無声口音の/p/と有声口音の/b/、有声鼻音の/m/を母音間に入れた無意味語を標的語とし、声の大きさと発語速度を3段階に変えて発語させた場合の子音調音時の口腔内圧Poピーク値を正常成人10名(男女各5名)で求めた。この結果、口腔内圧ピーク値(cmH_2O)は、男女差はなく、/p/で高く(平均6.50)、/b/で低く(3.20)、/m/ではわずか(0.50)であった(普通条件)。声が大きいと/p//b/のPoは高くなっていた。さらに、擬似的な異常音声(声門閉鎖不全、鼻咽腔閉鎖不全、口唇閉鎖不全)ではPoが期待される値をとり、構音障害例でも音声特徴と一貫したPo値を示した。 (4)双生児(成人女性1組)の声道の形状と音響分析の結果との照合を行った。発語時の声道は、ATRイメージングセンターでのMRを用いた実験で画像データを求め、計測をした。音声(母音と/asa/)の音響学的特性も近似していた。今後、同年代女性群の分析結果を合わせ、その近似性を評価する予定である。 (5)言語による音声制御の違いを調べるために、日本語話者10名と英語・中国語話者各6名より発語資料を集め、音響分析により時間的特性を測定した。日本語の特殊音素(促音・長音)を含む語の生成では、英語話者で過剰な延長傾向を認めた。
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