2007 Fiscal Year Annual Research Report
音声の遺伝-音声の個人差を規定する音響・生理学的要因
Project/Area Number |
18520342
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
苅安 誠 Kyushu University of Health and Welfare, 保健科学部, 教授 (00320490)
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Keywords | ヒト音声 Human speech / 遺伝 Genetics / 発語環境Speaking environment / 音響分析 Acoustic analysis / 生理学的計測 Physiological measures / 第二言語 Second-language / 個人差 Individual differences / 発語運動 Speech movements |
Research Abstract |
ヒト音声は、かなりの個人差を示し、遺伝によって決まる声道の大きさと形状だけでなく、発語環境や言語などの影響も少なくない。本研究では、音響分析と生理学的計測を用いて、個人音声の特徴を記述・類型化することを目標とし、本年度は以下の研究に取り組んだ: (1)英語・中国語話者の日本語音声の音響特徴:日本語を母語としない話者12名(英語・中国語各6名、学習レベル:初級・中級・上級各2名)と日本語話者10名に日本語音声の特殊音素(促音と長音)を含む語を生成させ、音響分析により閉鎖区間と母音持続時間を測定した。この結果、促音と非促音の対立(あっか・あか)の閉鎖区間は、日本語話者で約2倍であったのが、英語話者で大きく、中国語話者で小さい傾向がみられた。長音と非長音の対立(かーど・かど)の母音持続時間は、日本語話者で約2倍であったが、英語・中国語話者ではより短いかより長かった。 (2)発声発語時の口の開き:成人話者8名(男女各4名)に声の大きさ(ふつう・大きい・小さい)と聴覚Masking・はつきりClearの5条件で、前舌3母音(狭/i/・半狭/e/・広/a/)の持続発声とそれを含む語を入れた連続的発語をさせ、レーザー測定装置を用いて標的母音の口の開き(上下唇間距離)を計測した。この結果、口の開きは、母音発声で男性の方が女性よりも大きかったが、発語では男女の違いはなかった。大きな声やMasking・Clearは、ふつう・小さな声と比べ、全ての標的母音で口の開きは大きかった。発語運動は、発語環境に応じて、いずれの話者でも、予想された方向性に変化することがわかった。 (3)発声発語時の脳活動-fNIRによる観察:成人話者10名に、声の大きさや話速度の変化、聴覚Maskingや遅延フィードバック条件で、母音の持続発声と連続的発語を行わせ、近赤外線による脳活動(ヘモグロビン)の記録を行った。
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