2006 Fiscal Year Annual Research Report
小林好日を通して見た近代日本語学確立期の学史的研究
Project/Area Number |
18520348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 倫明 東北大学, 大学院文学研究科, 教授 (20178510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆 東北大学, 大学院文学研究科, 教授 (00161993)
大木 一夫 東北大学, 大学院文学研究科, 助教授 (00250647)
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Keywords | 日本語学史 / 小林好日 / 近代日本語学確立期 / 文法学史 / 方言研究史 |
Research Abstract |
本研究は、近代日本語学確立期における日本語学者のひとりで、日本語学の広い分野(総論・文法論、日本語史、東北方言の研究)に研究成果を残した、小林好日の研究成果の位置づけをおこなうことにより、近代日本語学がどのように確立されてきたのか、その過程の一端を明らかにすることを目的とする。 そのために、本年度は、小林好日の原稿・講義ノート類・昭和初期の方言調査資料を整理分析し、これらのデータベースを作成しながら、小林好日の学問形成の基盤を検討した。またこれらを利用して、小林の研究成果が日本語研究の展開のなかでどのように位置付けられるかについて分析を加えた。また、当時の日本語研究の研究動向・水準等の把握をおこなうべく、近代日本語学史の専門家との研究会を開催した。その結果、得られた成果は次のようなものである。 1.東北大学史料館に寄贈されている小林好日資料の約130点(原稿・講義ノート・受講ノート・卒業論文・研究ノート等)につき、その資料の分類・整理をおこない、その基本的な目録を作成し、データベース化をすすめた。なお、この作業は東北大学史料館の協力を得てすすめられた。 2.文法研究を中心に、近代日本語学確立期の研究動向・水準の把握につとめた。とくに当該期の口語文法研究の動向について整理した。 3.小林好日の文法論の特色と当該期の文法研究からの影響を検討した。小林好日の口語文法論は、活用形の認め方、品詞の立て方、とくに準助動詞をたてることなどが特徴的な点であることがあきらかになった。そして、活用の認め方などの点から、保科孝一の文法論からの影響が大きいことが判明した。またこのことは、史料館に残された保科孝一の講義の受講ノートからもいえるのではないかと推測される。 4.小林好日の方言学の学史的位置づけを明らかにするために、昭和10年代における通信分布調査の調査項目について検討し、そこで抜け落ちている感動詞関係の項目を新たに調査した。
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Research Products
(2 results)