2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520352
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高山 知明 金沢大学, 文学部, 助教授 (20253247)
|
Keywords | 音韻学 / 日本語史 / 音韻 |
Research Abstract |
江戸時代初期のものを中心に、近世期の文献調査を進めた。その際、以下の視点に基づいて調査を行った。第一は、当時の識者たちが抱いていた、母語である日本語の仕組みに対する関心ないし興味がどのような性質のものであったかという点である。第二は、その関心の広がりがどの程度のものであったかという点である。具体的な閲覧において、これらの点が実際の文献からどの程度読み取れるかということに留意し、閲覧調査を実施した。 とくに、今年度注目したのは、仮名遣関係、漢学、国学といった様々な領域の文献、さらには関連人物に関する文献である。本研究の眼目は、これらの領域と、謡曲関連の文献との関連を探ることであるが、両者の共通性、具体的にいえば、例えば、五音の理解、いわゆる五十音図的理解の広がりといった点について、総合的な見地の必要性をあらためて認識することとなった。各領域の相互関係から、近世期の、日本語に対する認識を浮き彫りにすることをさらに目指したい。本年度は、その基礎となる、資料理解を中心に研究を実施したことになる。また、謡曲関連の文献について、所蔵先の事情により閲覧を見送ったものもあるため、次年度、その調査を行った上でさらに問題を掘り下げたい。 上記の作業とともに、学界の状況についてもその把握に努めた。日本語音韻史に関しては、理論的研究が進められる一方において、個々の資料となる文献の再解釈、再評価の必要性が認識されつつある。本研究も、そのような流れと軌を一にしていることをあらためて確認したが、しかし、この傾向には、個々の研究者が、細かな問題の関心に埋没する危険性も、同時に孕んでいる。それゆえ、研究をさらに進めるにあたってはそれを回避するための十分な方向付けが必要である。本研究を継続し、成果をまとめるにあたっては、その点に留意すべきことが明白となった。
|