2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本語助数詞の層状的構造とその具体相についての研究
Project/Area Number |
18520357
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
三保 忠夫 Shimane University, 教育学部, 教授 (60093811)
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Keywords | 助数詞 / 類別詞 / 量詞 / 日本語史 / numeral classifer |
Research Abstract |
次の点につき、集中的に研究・調査した。 1、平安時代初期・中期の助数詞の体系を把握するため、『延喜式』の助数詞を総合的に調査・検討した。 2、中世の助数詞の用法につき、「中世の辞書類」や『山科家礼記』(中流公家の記録)『善隣国宝記』等を検討した。 3、江戸時代(中世末〜近世)を中心として日本に渡来した明代助数詞を収集した。資料は『翰墨双璧』『翰墨全書』『尺牘双魚』『玉堂尺牘彙書』等である。 以上、前年度からの研究成果をまとめると、日本における助数詞は、時代的・性格的には、(1)奈良時代の助数詞、(2)中古〜中世(前半)の助数詞、(3)近世における助数詞、という三期に分かつことができる。 「(1)奈良時代の助数詞」は、大陸渡来の文書行政の一環として位置付けられるものである。「(2)中古〜中世の助数詞」は、前代のそれが日本社会に融け込み、日本的変容を遂げながらも、いわば「伝統的助数詞」として安定的な地位を有していたものである。「(3)近世における助数詞」においても同様であり、文書作法や書記言語の世界では、この「伝統的助数詞」が幅を利かせていた。だが、この一方、中世後半から、新しい明代の助数詞が導入され、文人・禅僧を中心とする文化人社会に行われていた。日本語の助数詞は、時代的にも性格的にも、こうした「三層」構造をなしていることが判明した。この成果は、日本語の助数詞につき、初めて得られた知見である。
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