2006 Fiscal Year Annual Research Report
幕末草双紙の言語研究用デジタルコンテンツ化と語学的研究
Project/Area Number |
18520365
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小野 正弘 明治大学, 文学部, 教授 (90177270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 茂雄 実践女子大学, 文学部, 教授 (50158325)
今野 真二 清泉女子大学, 言語文化研究所, 教授 (50186871)
原 道生 明治大学, 文学部, 教授 (30046031)
内村 和至 明治大学, 文学部, 教授 (70277721)
山下 則子 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (40311162)
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Keywords | 幕末草双紙 / デジタル資料 / 語学的研究 / 語学文学連携 |
Research Abstract |
平成18年度における研究実績は、大別して、 (1)式亭三馬ならびに十返舎一九作草双紙のデジタルコンテンツ化 (2)上記資料を利用しての資料性の研究 に分かれる。 (1)の式亭三馬ならびに十返舎一九作草双紙のデジタルコンテンツ化、については、式亭三馬による『敵討安達太郎山』(1806)、『昔語兵庫之築島』(1810)、『一対男時花歌川』(1810)、『却説浮世之助話』(1810)、『其写絵劇悌』(1811)の5点、ならびに、十返舎一九による『女諸礼鑑』(1809)、『色男大安売』(1820)、『小夜衣』(1821)、『男結花縁起』(1829)、『結神末松山』(1837)の5点を、デジタル画像化し、翻刻を作成、一部をインターネット上で公開した(順次、全資料を公開していく計画である)。なお、その間の事情および問題点についての論文も公刊した。 (2)の上記資料を利用しての資料性の研究については、『敵討安達太郎山』(1806)を材料に、そこに用いられている仮名書き漢語(字音語)について、それがいかなる性質を持つかを、草双紙そのものの資料性と、当時の字引(節用集)との関わりの双方向から分析・考察し、日本語学会の全国大会で発表した。より具体的には、草双紙本文の特性に着目して、地の文と発話文の中間に「準発話」というカテゴリーを設けて、仮名書き漢語が、そのいずれに分布するかで、その漢語の一般性・難易性を論じ、また、幕末節用集の仮名遣いと一致するか否かという観点から仮名書き漢語を整理して、耳で聞き、あるいは目で読んで、字引をひいてその漢語を漢字表記できるかといった、当時の言語生活をある程度再構できないかというアイデアを述べた(なお、研究発表には多数の聴衆が集まり、草双紙の資料性を多くの日本語研究者に訴えることができたのも、成果といってよい)。 また、上記以外に、幕末の草双紙作家四方梅彦の事跡の研究、ならびに、草双紙と関わりの深い演劇台本の資料性に関する研究も発表された。
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