Research Abstract |
平成19年度においては,前年度の式亭三馬,十返舎一九の草双紙のデジタル画像化および翻刻に引き続き,山東京伝ならびに滝沢馬琴による草双紙のデジタル画像化および翻刻を行った。ただし,京伝ならびに馬琴による草双紙は,文宇量が,三馬・一九のそれに比して極めて多く,当初,10資料の翻刻を予定していたが,6資料のみに止めた。ただし,デジタル画像化は10資料分あり,今後,機会をみて,翻刻を増補していくつもりである。 また,今年度においては,当初の研究実施計画にはなかったことであるが,草双紙のデジタル画像と翻刻を同時に表示するシステムを,ホームページ上に構築した。これは,株式会社堀内カラーとの共同開発によるもので,デジタル画像の本文とその翻刻箇所を同時に対照できるものである,具体的には,翻刻本文とその翻刻に当たる箇所に,黄色い,ホタルの灯りのようなものが同時について,本文のどの文字が,どの翻刻に対応するかが一目瞭然にわかるものである。従来,本文とその翻刻の対比は,左右あるいは上下をいちいち見比べながら行なっていたが,このホタルのナビゲーションによって,その作業は軽減され,より,文字と文字の対比に集中できるようになった。このシステムの公開は,草双紙の文宇をウェブ上で自習できるという応用も可能で,今回の,語学研究用デジタルコンテンツとして,草双紙を,より利便に利用でき,親しみやすい開かれたものにするという目的に合致するものである。 また,九州大学附属図書館および東北大学附属図書館狩野文庫の調査により,明治大学図書館蔵本だけでは判明しない書誌的特徴も明らかにし,語学的研究の成果(文字・表記)を公開した。
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