2008 Fiscal Year Annual Research Report
事象構造への生成文法と認知文法の接近方法の比較研究
Project/Area Number |
18520373
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 亨 Yamagata University, 人文学部, 准教授 (70216414)
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Keywords | 結果構文 / 非選択目的語 / 見せかけの結果構文 / 構文の半生産性 / 事象構造 |
Research Abstract |
英語の結果構文には, 有界性制約の制限を受ける<真の結果構文>, すなわち結果句主導型の結果構文と、動詞が結果状態を含意する動詞主導型の結果構文の二種類があるが、従来有界性制約の反例とされてきた一連の<見せかけの結果構文>について、その事象構造を詳しく分析することにより、動詞主導型の結果構文の下位分類として位置づけることの妥当性を明らかにした。<見せかけの結果構文>の目的語は、外面的形状変化における結果産物として、結果句との主述解釈が保証されない点に、このタイプの結果句の付加詞的機能が本質的に反映されていることを実証的に論じた。これにより、有界性制約は、いわゆるすべての結果構文に適用されるわけではないという点で限定的であることになるが、依然として<真の結果構文>が成立するための認可条件を特徴づけるものとしての理論的重要性は変わらない。関連して、有界スケール解釈を持つ結果句を基盤とする<真の結果構文>が,本質的に非選択目的語構文であることが、新奇な事例を生みだす構文の創造性をもたらす一方で、個別の事例において強い文脈的サポートが要請されることが、構文としての生産性を不完全なものにとどめていることがわかった。このような事象構造の分析を中心に据えた構文の成立メカニズムと、言語使用における語用論的制約の相互関係を明らかにすることを目指す研究においては、生成文法的な構造を志向するアプローチと、認知文法的な言語表現の使用における意味解釈を重視するアプローチは、必ずしも相互排他的ではなく、異なるレベルの分析として両立しうるものであることを示した。
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