2007 Fiscal Year Annual Research Report
音声と統語処理のインターフェイスから探る強勢変異形出現メカニズム
Project/Area Number |
18520380
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
服部 範子 Mie University, 人文学部, 教授 (00198764)
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Keywords | 強勢 / 英語音声 / 音声変異 / 音韻 / 英語のリズム |
Research Abstract |
本年度は,音声と統語処理のインターフェイスから探る強勢変異形の出現メカニズムに関して,音声と統語部門のインターフェイスの理論の一つである「境界マッピングと境界削除」の枠組みを用いて,前年度までに得られた英語の強勢変異形のデータはどのように解釈できるのかを考察し,音響音声学的分析も行った。そして,研究成果の一部を論文として公刊した。 具体的には以下の点を指摘した。 ・英語の好韻律性に関して,文献で指摘されている3種類の規則のうち,強勢変異データの解釈には,句規則が重要な役割を果たすことを指摘し,とくに句の始まりを示す標識(マーカー)としてのアクセントの役割を考慮に入れる必要があることをデータと共に示した。 ・「境界マッピングと境界削除」の枠組みを用いると,英語の強勢に関して,揺れを示すイギリス英語母語話者の被験者のデータが,句境界の有無,および句境界標識(ポーズ,境界直前の音節の長化,境界直後の句頭の基本周波数のリセット)の有無によって統一的に説明できることを示した。 これらの指摘は,変異研究を単独の分野として切り離して扱うのでははく,一般言語理論の枠組みの中で他の分野と関連付けながら扱うことのできる可能性を示唆している。また,強勢衝突と強勢移動の関係について,この線に沿って研究を進めると,文献の記述を従来より正確にできると考えられる。音響音声学的分析については,来年度も引き続き行い,より詳細な測定を行う必要がある。
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Research Products
(2 results)