2006 Fiscal Year Annual Research Report
Aelfricの説教散文の受容と変容-後期古英語散文のテクストと言語の基礎的研究
Project/Area Number |
18520391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小川 浩 昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (90029736)
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Keywords | 英米文学 / 中世期英語文献学 / 古英語 / 説教散文 / AElfric / 文体 / 写本 |
Research Abstract |
本研究は、後期古英語の散文を代表するAEIfricのCatholic Homilies(10世紀末)と、11-12世紀にこれに改変を加え発展させた作者不詳の作品群のテクストと言語についての比較研究である。AElfiricのCatholic Homiliesは後期古英語散文の中でも最も重要な作品であり、その中の個別の説教については、とくにsource studyの観点から既に多くの研究があるが、それらの作品の受容の状況と言語・文体の変容は、散文史研究の中核をなす「説教散文の伝統」もしくは「系譜」の観点からみて最も重要なテーマであるにもかかわらず、その面の研究は今日でも依然としてほとんど行われていない。したがって当該の一連の説教作品のテクストと言語についての徹底した包括的な研究がいま求められている。 本研究課題の初年度にあたる今年度は、基盤整備として、まずAElfricのCatholic Homiliesを改変して用いた後代の作品コーパスを調査確定し、対応個所を逐一明らかにし、それらをAElfricの原文と対比したパラレル・テクストのデータベースを作成することに努めた。作品コーパスの確定およびそのためのsource studyにあたっては、その分野の先駆的研究であるMary Swanの学位論文(1993)に依拠した。Swanによれば、AElfricを利用した11-12世紀の作品としては合計26作品を数えるが、今年度はこのうち10作品について、一部はDOE Corpusを利用、一部は新たにテクストを自ら入力して、AElfricの原文とパラレルに並置した版を作成し、これをほぼ完成した(残り16作品についても、出来るだけ早い機会に作成したいと思っている。)作成したデータベースは電子化した。以上によってテクスト間の異同が言語・内容両面にわたって一目瞭然となり、精度の高い、しかも高速な比較照合が可能となり、次年度以降に予定しているこれらの作品についての研究の態勢を整えることが出来たと思っている。
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Research Products
(2 results)