2008 Fiscal Year Annual Research Report
AElfricの説教散文の受容と変容-後期古英語散文のテクストと言語の基礎的研究
Project/Area Number |
18520391
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小川 浩 Showa Women's University, 文学研究科, 教授 (90029736)
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Keywords | 英米文学 / 中世期英語文献学 / 古英語 / 説教散文 / AElfric / 文体 / 写本 |
Research Abstract |
本研究は、後期古英語の散文を代表するAElfricのCatholic Homilies(10世紀末)と、11-12世紀にこれに改変を加え発展させた作者不詳の作品群のテクストと言語についての比較研究である。Catholic Homiliesは後期古英語散文の中でも最も重要な作品であり、その中の個別の説教については、とくにsource studiesの観点から既に多くの研究があるが、それら諸作品の受容の状況とそれに伴う言語・文体の変容は、散文史研究の中核をなす「説教散文の伝統」もしくは「系譜」の観点からみて最も重要なテーマであるにもかかわらず、その面の研究は今日でも依然として殆ど行われていない。したがって当該の一連の作品のテクストと言語についての徹底した包括的な研究がいま求められている。 本研究課題の初年度には、AElfricのCatholic Homiliesとそれをもとに改訂した11-12世紀の10作品とのパラレルテクストを作成し、次年度にはそのうちの2作品について原写本に基づく新たな校訂版を作成した。今年度は以上の基礎資料とツールをもとにして、Catholic Homiliesの受容と変容をとくに書語面について、統語法・文体を中心として研究した。とくに記AElfricの原文とその改変箇所を比較検討して、それらが並列・従属構造、定動詞・非定動詞構造、頭韻やword pairなどの韻律的側面、句読法、あるいはラテン語の影響などの点でどのように相違し、その間にどのような散文体の発達や系譜関係が見られるか、そしてそれらの諸側面が古英語説教散文の変容・発達の全体の中でどのように位置づけられるか、などを考察した。そして幸い、その結果を、別項に記載したように、図書(単著)、論文、研究発表としてまとめ、国内外に成果を問うことができた。これらの成果をもとにして、今後もAElfricとその周辺及び後代の作品についての研究を深化させるべく努めていく所存である。
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Research Products
(5 results)