2006 Fiscal Year Annual Research Report
英語における動名詞の時制解釈と統語構造ー経済性の観点から
Project/Area Number |
18520394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
有村 兼彬 甲南大学, 文学部, 教授 (70068146)
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Keywords | 動名詞 / 意味解釈 / having削除 / 経済性 / PRO / [+ / -tense] / 目的語解釈 / 節構造 |
Research Abstract |
本研究は、英語の動名詞の時間解釈を巡る研究である。一般的に、非定形節において主節が表す時間と従属節が表す時間とにずれが生じる場合、後者はto have/havingという完了形を用いて表される。例えばbelieve型動詞や繰り上げ動詞の場合完了形が存在する場合とそうでない場合とでは明らかに意味上の違いが生じる(例えば、John believes Mary to be (have been) rich./John seems to be (have been) rich.)。これに対して、いわゆるコントロール動詞の場合、従属節で完了形を用いることは出来ない。この違いは、前者の動詞類を含む従属節は[-tense]であり、後者の動詞を含む従属節は[+tense]であるとするStowell(1982)の考え方によってかなりカバーできる。本研究では、その考え方によれば動名詞はどのように捉えることができるかという点に関心を抱いた。動名詞の場合、主節動詞が補文に対して明らかに過去時指定を行う場合、完了形が省略可能である(例えば、He regretted saying (having said) so. Martin(2001)は動名詞は、コントロール構造を許すことから、不定詞と同様に動名詞も節構造を持つ[+tense]と捉えた。 2006年度は、Martinの考え方が正しいと考えた場合にどのような帰結が得られるか、また、Stowell(1982)のように[-tense]とした場合にどのような帰結が得られるのか、動名詞を補部として要求する動詞の特徴について考察し、インターネット等を通じて様々な英語の現象を観察した。その研究の一部を"The temporal interpretation of English gerunds and the syntactic structure"としてまとめたが、これをKansai Area Circle of Linguistics (KACL)主催のFora2007シリーズの一環として開催した甲南大学でのForum(1月26日)において発表した。この論文で動名詞補部におけるhavingの有無は派生における経済性の観点から説明されるべきであると論じたが、Forum出席したJoseph Emonds, Henk van Riemsdjik氏らを中心とした議論が交わされ、なかでも主節動詞の意味特徴と従属節が持つ[+tense]指定とがどのように関わるのかが議論になった。 なお、2006年度中に書いた論文は"The temporal interpretation of English gerunds and the syntactic structure"(口頭発表)と"Object interpretation in the nominal expressions"(日本英語学会審査中)の2点であるが、いずれも未発表論文なので、次ページの研究成果には含めていない。
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