Research Abstract |
本年度は,中国語,韓国語およびトルコ語を母語とする日本語学習者の名詞句構造の習得における母語の影響を考察する目的で,以下のことを行った. (1)日本語学習者の基本能力を測定するために語彙と文法能力テストを作成した,研究代表者が,テストの実施許可を取って,これら2種類のテストを中国および韓国の日本語学習者に実施した. (2)名詞句の構造についての習得実験を行うために,研究分担者の酒井は韓国語,松下は中国語,栗林はトルコ語と,それぞれが担当する言語を母語とする日本語学習者の特性を考慮しながら実験についてコメントをした.さらに,名詞句の構造の理解についての実験を実施するために,名詞句の刺激を作成した.名詞句を作成するにあたり,対照言語学的なアプローチから,中国語、韓国語およびトルコ語と日本語との違いを検討した, (3)上記の(2)の過程で,研究分担者の酒井は韓国語について,松下は中国語にっいて,栗林はトルコ語について文献調査を実施し、日本語の名詞句実験のための刺激を作成した. (4)研究代表者が,ポータブル・コンピュータで実験ができるように,実験プログラムを作成した.そして、研究分担者が作った名詞句が実験に適しているかどうかをチェックしてプログラムに組み込む作業をした. (5)コーパス研究など関連分野の研究論文(すべて査読論文)を7篇執筆した.この内の2篇はすでに出版され,5篇が印刷中である.これら7篇の内の2篇は,Citation Reportに掲載されている世界レベルの学術誌である. 最終年度となる来年度は,実験プログラムに最終的な実験用の刺激を組み込んで,実験ができるようにすること,さらに,実験を実施して,学会発表を行い,論文を書く予定である.
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