2006 Fiscal Year Annual Research Report
誤用とその問題点の分析に基づいた日本語アカデミックライティング教材の開発
Project/Area Number |
18520415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
長谷川 哲子 大阪産業大学, 教養部, 講師 (20368153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 良一 岡山大学, 社会文化科学研究所, 淮教授 (80325068)
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Keywords | アカデミックライティング / 留学生 / わかりやすさ / わかりにくさ / 文章構成 / 教材開発 / 作文指導 / 誤用 |
Research Abstract |
本研究は、主に学部留学生を対象としたアカデミックライティング教材の開発を主眼とするものである。教材開発に向けて、わかりやすい文章とはどのような論理的展開を備えたものかを調査し、さらにアカデミックライティングに特徴的な表現を探る必要がある。 平成18年度は、教材開発の前段階として、下記の二つの調査を行った。 まず、国立国語研究所作成のコーパス「日本語学習者による日本語作文と、その母語訳との対訳データベース」より、意見文20篇を選定し、大学教員16名(日本語・日本語教育を専門とする教員6名、それ以外を専門とする教員10名)に対して、上記20篇の作文について、わかりやすさ/わかりにくさの判定とその判定理由に関する調査を行った。その結果、意見文のわかりやすさ/わかりにくさには、文章の構成の良し悪しが大きく影響していることが明らかになった。その一方で、文法面での正確さに対しては、文章構成のよさほどには高評価が与えられないことが分かった。このことから、アカデミックライティング指導の際には、使用する語彙や表現に加えて、文章構成を重視した指導の必要性が示唆された。 また、上記の調査と並行して、意見文の執筆依頼及び執筆内容に関するアンケート調査を2回実施し、国内の大学計5校の留学生計111名より回答を得た。意見文の執筆は手書きのものが大半であったため、執筆された作文については、テキスト形式での入力作業を行った。これらのテキストを資料とし、文章全般に関わる全体的視点(文章展開)と、文章を構成する文や段落に関わる部分的視点(文法項目、語彙、表現)からの分析を進めている。 今後は、この分析結果に基づいて、アカデミックライティング教材のシラバス作成に着手する予定である。
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