Research Abstract |
平成19年度は,工学系大学の英語学習者のための語彙学習e-learningシステムに音声をどのように組み込むべきかを検討するために,以下の2点の研究を行った。 1.(語彙テストを用いた研究)前年度に選定した指導語彙のリストをもとに,音声提示語彙テストと文字提示語彙テストを実施し,テスト結果を分析することで,学習者の習熟度レベルと形式知識による語彙認識困難度との関係を調査した。初級レベル、中級レベルでは,音声知識と意味知識が融合されていないことが明らかになったため,文字提示による語の同定訓練と同時に,音声提示による語の同定訓練をシステムに組み込む必要性が確認された。上級レベルでは,語レベルでの音声知識と意味知識の融合は,ある程度,進んでいることが確認できたが,通過率の低い項目も散見された。今後の研究では,蹟き要素の解明が課題となる。 2.(脳機能測定による研究)上で記した習熟度レベルと音声知識、意味知識の関係を,非侵襲性のfMRIを用いた脳機能測定によって検証した。初級レベルの学習者は,音声課題において脳の賦活レベルが低くなるが,意味課題においては,脳機能が過剰に活性化しており,音声と意味知識のマッピングがなされていないことが脳機能画像から明らかとなった。上級者レベルでは,意味課題では,脳の賦活レベルは低くなっており,自動化が進んでいることが推測されたが,音声課題では,むしろ,脳機能が過剰活性状態となっているため,上級レベルの学習者に対しては,自動化を目的とし,多様な種類の音声訓練を組み込んだe-learningシステムの構築が必要であることが示唆された。
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