2007 Fiscal Year Annual Research Report
第2言語としての英語文章産出モデルの構築:長期的発達と社会文化的影響の視点から
Project/Area Number |
18520461
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 みゆき Nagoya Gakuin University, 外国語学部, 教授 (60241147)
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Keywords | 日本人英語学習者 / 量的研究 / 質的研究 / プロトコールデータ / 長期的研究 / 拡張活動理論 / 社会文化的分析 / 第2言語ライティングカ |
Research Abstract |
本研究は、日本人英語学習者が大学入学時からの3年半で、英語を書く力や英語を書く際の方略や動機付けをどのように発達させていくかを観察・調査することを目的とした。本研究者は、この目的の第一次データ採取のため、平成14年〜17年度に科学研究費の交付を受けた(基盤研究C課題番号14580311)。さらに本研究を2年間行う事で、合計37名の被験者から、一般英語力、作文力、英語を書く際の方略に関する質的・量的データを集める事ができた。このような長期観察の研究を開始した際は、本研究の主な対象変数は学習者の認知的能力であったが、被験者の大学生活の大半を占める3年半の長期観察を続けるうちに、被験者の認知的変化には、社会文化的(sociocultural)な外部要因が大きく影響することがわかった。そのため、本研究者は途中から研究方針を変更し、被験者ひとりひとりの3年半の観察期間の最後に、被験者自身の言葉(the insider view)で英語ライティング学習への動機付けの変化とその理由を語ってもらい、現在、社会文化的観点の分析法であるExpanded Activity Theory(拡張活動理論)を加えて、包括的に分析中である。過去6年間に37名の被験者から得られたデータは膨大であるので、第一次分析の結果としてわかったことを以下に記す。(1)4年半の観察期間で被験者の英語ライティング力に最も大きな影響を与えたのは、英語圏への留学と就職活動だった。(2)英語圏への留学期間が0ケ月、2ケ月、4ケ月、8ケ月以上で、被験者の英作文力の変化や英語を書く事への動機付けの変化が有意に異なっていた。(3)3年半で英作文力が有意に発達したのは、何らかの形で英語圏へ留学した学生だけだった。このことには、英語圏に留学した学生のみが形成するimagihed L2-related communities(想像上の英語が関わるコミュニティ)が関係していた。(4)3年半の最後に「もっと良いものを書きたい」動機付けを持ったのは4ケ月以上英語圏に留学した学生だけだった。(791語)
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