2008 Fiscal Year Annual Research Report
英文法及び英単語に関する明示的知識が英語運用能力向上に与える効果について
Project/Area Number |
18520462
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
赤松 信彦 Doshisha University, 文学部, 教授 (30281736)
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Keywords | 英文法 / 英語語彙 / 学習方法 / 認知言語学 / 自動化 |
Research Abstract |
平成20年度は「冠詞学習」について研究する予定であったが、研究方法に関して方針を転換したため、来年度研究対象であった「前置詞学習」を研究対象とした。尚、「冠詞学習」に対する研究については平成21年度に実施する予定である。 63名の日本人大学生を対象に前置詞(at,in,on)に関するテストを実施した。テストは60項目からなる空所補充問題で、3つの前置詞のうち、もっとも適切なものを記入させた。この前置詞テスト(事前テスト)の結果と、このテストの約1ヶ月前に行われたInstitutional TOEFLの結果に基づき、被験者を等質の2つのグループに分けた。そして、一方は認知言語学的知見に基づく学習法(core imageを活用した学習)で、他方は英和辞書に記載されている定義と例文を活用した従来型の学習法で、前置詞(at,in,on)を復習させた(学習時間約30分)。学習終了後直ちに前置詞に関するテスト(事後テスト)を実施した。尚、事後テストの問題項目は事前テストと同様であったが、配列は異なっていた。 事前テストと事後テストの得点を分散分析を用いて分析した結果、認知言語学的知見に基づく学習法と従来型の学習法とでは、その学習効果という点において統計的に有意な差はなかった。つまり、core imageという認知言語学的知見に基づく明示的学習は前置詞に関する既習知識を再構築するには至らなかった。この結果に対する理由としては、(1)前置詞に関するテストで用いた項目がcore imageから連想できる範囲を超えているものが多かった可能性や(2)学習者は英語の前置詞を学ぶ段階で日本語の助詞の影響を受け、この母語の影響を排除するような根本的な知識の再構築は、認知言語学的知見に基づく明示的学習では行われなかった可能性などが考えられる。
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