2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者における一致形態素使用の随意性の要因に関する研究
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18520476
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
坂内 昌徳 Fukushima National College of Technology, 一般教科(英語), 准教授 (60321387)
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Keywords | 第二言語習得 / 統語論 / 形態素 / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は日本人英語学習者による3単現の-sと規則変化動詞の過去形-edの使用の随意性について要因を明らかにすることである。平成19年度は日本人英語学習者の一致形態素に密接に関連していると考えられる動詞統語的素性の知識を調べる目的で、心理言語学的手法を用いて実験を行った。第二言語習得研究では第二言語学習者は文法素性を習得できるが表層の形態や音形に表出する際に問題が生じるとする表層屈折欠損仮説(MSIH)と特定の文法素性の習得自体に問題があるとする素性標示不全仮説(RDH)が対立している。前者が正しければ、日本人英語学習者は少なくとも時制構造を習得した段階で英語の本動詞が動詞の繰上げの適用を逃れることを習得しているはずである。 センテンス・マッチング・タスクにより、動詞の繰上げを含む文と含まない文を母語話者と学習者が処理する速度を測定した結果、母語話者は動詞の繰上げを含まない文に比較して動詞の繰上げを含む文で処理速度が有意に遅く、日本人学習者の場合は二つの文タイプ間で処理速度に有意な違いは無いことが分かった。また、主語の形状の異なる文タイプによる自己ペース読解タスクの実験では学習者の読解時間が数の一致違反を含む文でも長くなることはなく、英語母語話者のデータとは対照的な結果となった。これらの結果は日本語話者の英語第二言語文法には解釈不可能素性が欠如している可能性を示唆するもので、第二言語習得の仮説の中で、表層屈折欠損仮説(MSIH)を退け、素性標示不全仮説(RDH)を支持する点で重要である。
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