2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 勝生 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授 (90044726)
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Keywords | 近代史 / 軍事史 / 朝鮮 / 韓国 |
Research Abstract |
計画のように、(1)朝鮮甲午農民軍を鎮圧した主力部隊(後備歩兵第19大隊)などの作戦行動の解明、(2)鎮圧軍部隊兵士の出身地域の調査、(3)鎮圧軍の指導部についての調査の3点を中心として実施した。(1)は、防衛研究所図書館を、(2)は、四国4県などだが、今年度は東京大学法学部明治文庫と徳島県立図書館を、(3)は、山口県文書館を中心として調査した。国内で豊富な史料が発見されたので、韓国の研究者とは郵便での情報交換に留めた。 (1)の防衛研究所図書館の調査では、鎮圧を指揮した広島大本営の記録と朝鮮兵站監部、師団、部隊などの「陣中日誌」の残存状況を調査し、今年度は、実施作戦を示す『南部兵站監部」日誌、大本営の「着電綴」、「戦史編纂準備書類 大本営命令」などを収集した。(2)の鎮圧軍兵士の出身地域についての調査では、今年度は、徳島県について明治文庫と徳島県立図書館で、当該時期の「徳島日日新聞マイクロフィルム」を閲覧し調査した。朝鮮で日本軍に抗して蜂起した「東学党(甲午農民軍)」に対する新聞での報道や論説、鎮圧軍に動員された徳島出身の兵士(後備兵士)の記事情報、高年齢の後備兵士に対する地域の対応(銃後の家族)、掲載された鎮圧兵士の手紙など、さまざまの記事を収集した。(3)の鎮圧日本軍の指導部の調査では、鍵となる鎮圧部隊の総司令官(少佐)を研究した。総司令官が維新期長州藩で尊攘草莽として活動した地元、山口県文書館で調査をした。 多くの重要な事実が明らかになった。たとえば、朝鮮甲午農民軍は3万ほどが殺害され、一方、後備第19大隊は戦死者を出していないと言われ、事実、靖国神社登録の同部隊戦死者は現在、記録されていないが、実は戦死者(徳島の兵)が存在し、「公報」も伝達されたこと、戦死者の出身地、職業、家族なども判明した。また、総司令官が維新期に属していた長州諸隊名(整武隊)など周辺史料を発見もした。全体の研究を深めて公表したい。
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Research Products
(2 results)