2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平 雅行 Osaka University, 文学研究科, 教授 (10171399)
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Keywords | 鎌倉幕府 / 延暦寺 / 園城寺 / 天台座主 / 北条時宗 / 随心院 / モンゴル襲来 / 顕密体制 |
Research Abstract |
本年度は史料収集を進めて、寺門系・山門系幕府僧の事蹟を検出・確定する基礎作業を精力的に行った。この作業を通して、1282年の最源の天台座主就任が鎌倉幕府の権門寺院政策の転機であることが判明した。 (1)鎌倉幕府は幕府僧の西国進出を長く抑制してきたが、最源の座主就任はその制約を解いた最初の事例である。 (2)朝廷は幕府の意向を慮り、延暦寺の門跡返還を実現するために、最源の座主就任を了解した。 (3)幕府が政策転換をしたのは、モンゴル襲来を契機に、幕府主導で異国降伏祈祷体制を構築するためであった。 なお、東寺宝菩提院文書マイクロフィルムの管理をめぐって、大正大学附属図書館と東寺との間で紛争が勃発したため、同資料の閲覧と利用が全面的に停止された。そこで今年度は、京都随心院の資料調査を中心的に行った。 (1)厳海の弟子である成宣の事蹟を検討し、彼が鎌倉に赴いていたことが新たに判明した。 (2)随心院厳恵と静厳への継承にかかわる『野沢血脈集』の記事は、これまで無批判に使われてきたが、検討の結果、その信憑性が高くないことが判明した。 このほか、親鸞の流罪を検討するなかで、鎌倉幕府や朝廷における流人制度と囚人預け置き慣行について検討し、論文「親鸞の配流と奏状」(400字詰め換算78枚、印刷中)を執筆した。
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Research Products
(3 results)