2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520501
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
今野 日出晴 Ehime University, 教育学部, 教授 (10380213)
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Keywords | 日本史 / 歴史叙述 / 歴史教科書 / 原爆体験 / 被爆者 / 聞き取り / オーラル・ヒストリー |
Research Abstract |
本研究は、「原爆体験」を基軸に据えて、歴史叙述の新たな可能性を開こうとするものである。そのために、広島・長崎の被爆者、及び韓国在住の在外被爆者を含めた「原爆体験」を実際に聞き取り、それをもとに歴史叙述を試みることを目的としている。そこで、本年度は、昨年に引き続き、被爆者の声を精力的に収集しているジャーナリスト、及び在韓被爆者、そして、それを支援する研究者に実際に聞き取りをおこなった。特に、在韓被爆者の方からの聞き取りでは、被爆直後の体験を聞き取ることの「難しさ」が改めて焦点化され、「聞き取り」ということ自体の方法的反省にまで射程が及ぶものであった。なお、子どもたちの空間認識を聞き取ることから、「聞き取り」という質的研究方法にアプローチした(「子どもの空間認識と地図学習について-学習者から『聞き取る』という試み-」『中等社会科教育研究』第26号)。また、歴史叙述の理論的な側面については、歴史研究と歴史教育の交差する領域に位置づけて整理をおこなうとともに、現在を生きる私たちにとって欠くことのできない「経験」として「原爆体験」を意味づけ、それを課題として受けとめるような歴史叙述を展望した(『歴史学と歴史教育の構図』東京大学出版会、2008年)。
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