2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520501
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
今野 日出晴 Iwate University, 教育学部, 教授 (10380213)
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Keywords | 日本史 / 歴史叙述 / 歴史教育 / 原爆体験 / 東アジア史 |
Research Abstract |
本研究は, 「原爆体験」を基軸に据えて, 歴史叙述の新たな可能性を開こうとするものである。そのために, 広島・長崎の被爆者, 及び韓国在住の在外被爆者を含めた「原爆体験」を聞き取り, 歴史叙述を果たそうとするものである。本年度は, 平成18年度から進めている「聞き取り」のまとめにはいって, 音声資料の整理やトランスクリプトされたテキスト作成などをおこなった。同時に,被爆者のライフ・ヒストリーを軸にしながら, 歴史叙述としての「作品化」をおこなっている。また,在韓被爆者の体験を「日本史」一国史の枠のなかで位置づけるのではなく, 「東アジア」の枠組みのなかで位置づけて叙述する必要から, これまでの日本と韓国の「歴史共通教材」作成の意義と, そうしたく対話>から生まれた歴史叙述の可能性と問題性を検討した。それは, 同時に, 「東アジア史」の可能性を理論的に整理して位置づけることでもあった(「『東アジア史』で考える-歴史教育にわたるということ-」『岩手大学文化論叢』第7・8輯)。また, 歴史叙述は, 同時に歴史教育における認識の仕方と密接に関わるものであり, それをあとづけるための考察を戦後「社会科歴史」との比較からおこなった(「歴史教育と社会科歴史-『歴史教師』という問題-」『歴史評論』第706号)。さらに, 歴史叙述を歴史研究と歴史教育の両者を貫く基層として位置づけている本研究のあり方を検証するために, 研究と教育とをつなぐ意義として提案した(「『日本史研究』と『日本史教育』をつなぐ」『日本歴史』第728号)。
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