2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代東北地方における西洋文化受容の研究-メソジスト派宣教活動を中心に-
Project/Area Number |
18520507
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Research Institution | Akita University of Nursing and Welfare |
Principal Investigator |
北原 かな子 Akita University of Nursing and Welfare, 看護福祉学部, 教授 (80405943)
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Keywords | 宣教師 / キリスト教 / 西洋文化受容 / 異文化交流 |
Research Abstract |
本研究は、日本の近代化の過程において、東北地方がどのように西洋文化と向き合ったのかという問題を、宣教師の活動を中心に考察していこうとするものである。昨年度に引き続き、東北地方におけるキリスト教宣教師たちの活動を伝えるマイクロフィルムの解読を進めると共に、特に本年度は、津軽地方への西洋文化導入に大きな役割を果たしたジョン・イングの母校、アメリカ、インディアナ州グリーンキャッスルのデポー大学での現地調査を行った。その結果、イングの自筆書簡、あるいはイングが日本や中国滞在中に母国の宣教雑誌などに投稿した記事など、これまでその存在をまったく知られていなかった貴重な資料を多々入手した。 このうち、自筆書簡の中には、弘前に滞在していた時期のイング自身の活動や、その活動に関しての彼自身の本音、あるいは彼のおかれた状況など綴られ、これまで一方的に日本人サイドからの視点のみで語られてきたイング像に新たなイメージを付け加えることができた。これは、宣教師として派遣されてきていたお雇い外国人の一つの姿を伝えるものでもあると考えている。それに加えて、今回の調査で入手した、イングの投稿記事は、自筆書簡と違って公的に人の目に触れることを意識して書かれている分、彼自身の日本に対する認識などを今に伝える記事となっている。特に1876年7月15日の明治天皇奥羽巡幸での東奥義塾天覧授業に関するイングの記事は、宣教師側からみた明治天皇の様子を伝えると共に、これまで参加した東奥義塾生の記述など日本側資料しか知られていなかった事柄を、実際に指導したアメリカ人教師の側から伝えるものとして、きわめて興味深い記事となっている。 このように、文明開花期の東北の様子を今に伝える宣教師イングの新資料を発掘したことが、本年度の最大の成果である。
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Research Products
(4 results)