2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
原田 信男 国士館大学, 21世紀アジア学部, 教授 (20208680)
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Keywords | 中世史 / 歴史地理学 / 考古学 / 近世史 / 環境 / 村絵図 / 平地部 / 多摩川 |
Research Abstract |
平成18年度は、これまでの研究蓄積をデータ化するとともに、新たな史料の発掘に努め、その整理・検討に時間を費やした。すなわちパソコンおよび周辺機器に、これまでのデータを移すとともに、新たな史資料の入力を行い、研究協力者との情報の共有化を図った。また日野・八王子地区における近世文書の発掘・検討および考古遺跡の現地確認や遺物実検のために、研究協力者とともに、平成18年8,月4日〜7日・同11月11日〜12日・平成19年2月24日〜25日に、合宿で調査研究会を八王子市内にて実施し、史料の発掘・整理および研究討論を行った。とくに近世村落として、主要な研究対象となる八王子市の旧石川村に関しては、近世領主が幕府ほか旗本4名の相給であるため、基本となる近世文書が分散しており、全体像がつかみにくいという問題があった。すでに旗本1氏に関しては、かつて申請者が中心となって整理した石川家文書があるが、今回、幕府領の名主を務めた源原家の古文書を整理することができた。この両者を比較検討することで、今後、石川村における開発の概要が明らかになると思われるため、全史料の整理と目録化に、主な労力を傾けた。幸いに2月の調査において全貌がつかめ、絵図4点+冊文書339点+状文書336点の目録作成および基礎文書の写真の撮影・整理が、研究協力者の協力のもとに完成をみた。これによって新たな史料発掘の目的を達成し、石川村における古文書整理の基礎作業が終了した。このほかにも八王子市における調査研究会の成果として、八王子市郷土資料館において、この地域の開発関連文書である平家文書・関根家文書の目録検討を行い、当地域における開発の様相の一端が明らかになった。なお考古学関係では、調査研究会において、八王子市石川天野遺跡におけるGPS探査を行うとともに、同宇津木台遺跡・日野市七つ塚遺跡からの出土遺物の現物検討を実施した。また旅費申請は行っていないが、国士舘大学鶴川校舎および立川市内において、平成18年4月26日・5月11日・6月9日・7月3日・9月24日・10月4日・12月6日・1月14日にも、研究会を定期的に開催し、長期的な研究計画および調査研究会の実施計画のほか、石川家文書からみた村落構造などについて報告・討論を行っている。とくに源原家文書の概要検討や性格分析については、何度かの検討を試みたことで、その目録整理に大きな成果を生かすことができた。さらに申請者は、源原家文書の一部を用いて、「日野八王子地区における切畑について」なる報告を行い、これまで山間部の開発方式とされてきた焼畑が、当該地域の山よりの平地部においても近世まで行われていたことを明らかにした。また最終的な全体報告書についても、平成21年度に当地域の開発に関する研究論文集を刊行すべく、その内容構成についても検討した。
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