2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520508
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
原田 信男 Kokushikan University, 21世紀アジア学部, 教授 (20208680)
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Keywords | 中世史 / 歴史地理学 / 考古学 / 近世史 / 環境 / 村絵図 / 平地部 / 多摩川 |
Research Abstract |
平成20年度は、3年目の最終年度にあたるので、これまでに整理・検討した資料の裏付けを取り、研究テーマに関連した関連資料をより精緻に収集することに重点を置いた。すなわち研究も仕上げ段階に入ったので、研究協力者との議論に努めた。この検討については主に、4月21日・5月26日・7月18日・10月7日の定期的な研究会において行われた。また資料の補充的調査については、8月29〜31日および12月13・14日の八王子合宿調査が宛てられた。さらに12月13日の午後には、地理学的見地から早稲田大学久保純子教授による当該地域の地形的特徴に関する研究報告を、研究協力者とともに拝聴し、地域開発の前提となる自然地理的な条件についての検討を報告者ともども行った。また文献史料の核となる地方文書については、従来から研究代表者らが手がけていた八王子市石川町の石川家文書、および研究とともにスタートした同源原家文書の目録化を終了し、これをデータ入力して、エクセルによる一覧表化を行った。さらに景観および開発研究に最も有効な資料となる村絵図の精選を行い、50枚弱のトレースについても完了した。これに加えて、生活環境の始源にあたる旧石器時代の重要な資料となる黒曜石の科学分析も行った。こうして本年度は、研究成果報告へ向けての総合的検討がかなりの進展を見せたことになる。これらを踏まえて、3月1日には、研究代表者および研究協力者による総合的な研究報告検討会を行った。このうち旧石器・縄文・弥生・古墳までは考古学の成果、中世および近世は文献史学を中心として、考古学の成果を加えたものとなる。また研究の厚みが補償されるのは、文献史料の多い近世となるが、開発と環境の変化について、林野の利用や用水開削と新田開発など、いくつかの具体相を明らかにしえたものと考える。なお本研究は、旧石器時代から幕末まで、すなわち前近代全てを見通すものであることから、それぞれの時代と専門に精通した研究協力者との徹底的な議論を通して、平地部における開発と環境変化に関する歴史的解明が必要とされる。最終的には、研究代表者が通史的な見解をまとめ、その具体相を追求する研究協力者が各論を提示した研究書を一両年中に刊行する予定である。
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