2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520510
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松尾 正人 Chuo University, 文学部, 教授 (00157265)
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Keywords | 近・現代史 / 史料学 / 政治史 / 政治思想史 / 文化交流史 / 談話筆記 / 回想録 / アーカイブス |
Research Abstract |
本年度は談話筆記・回想録研究の具体的な作業として、長州藩関係者史料の調査・収集および土佐藩関係者田中光顕史料の調査・収集に全力をあげた。前者の長州藩関係では、昨年に引き続いて山口県文書館などに出張した。同館の各種文庫中の談話筆記や伝記関係史料を調査し、「両公伝編集史料」などの編纂過程で作成された談話筆記類を収集することができた。山口市歴史民俗資料館に出張し、木戸孝允や大村益次郎関係史料の調査を行った.また、山口県内では下関市立長府博物館の見学・調査を行い、長州藩の市藩関係省の史料の概要を把握することができた。さらに、新たな分野として田中光顕関係史料の調査に着手し、2回にわたって高知県佐川町の青山文庫の史料調査・収集を行った。田のは幕末の志士として活躍し、兵庫県権判事に登用された後、大蔵省や陸軍省の要職、元老院議官・警視総監を歴任し、明治31年から宮内大臣を11年間在職するなど、明治・大正期の政治的裏面に通暁した興味深い人物である。みずから『維新風雲回顧録』『維新夜話』などの回想録を執筆し、生前に出版された『田中青山伯』や『伯爵田中青山』などには、談話筆記が数多く収録されている。それらの談話筆記と実際の史料を突き合わせて吟味することで、征韓論政変における由中の活躍、伊藤博文や木戸孝允らの長州藩有力者と田中の関係など、これまで十分に検討されないできた田中の実像を解明することができた!回想録作成および伝記編纂の過程で作成された談話筆記類の存在とその課題を具体化することができた意義は大きい。なお、継続作業として、山梨県立図書館の岡谷繁実関係高松隊史料の収集、および史談会関係史料の整理を行った。研究成果として、「幕末の志士田中光顕と維新政権」(『中央史学』第33号)を発表し、松尾正人編『幕末・明治期名家書翰草稿』を刊行した。
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Research Products
(5 results)