2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520511
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
白根 靖大 Chuo University, 文学部, 教授 (80250653)
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Keywords | 中世史 / 系図論 / 史料学 / 東北地方 |
Research Abstract |
まず、前年度に調査・分析を行った東京大学史料編纂所所蔵「古系図集」の考察結果を論文にまとめて発表した。この系図集は、室町時代の応永年間、朝廷の中・下級貴族によりその原形が作られ、のちに禁裏小番を務めた家に伝来し、戦国時代の永禄年間、最後の追記が入れられたものである。著名な『尊卑分脈』に匹敵する構成を有した史料的価値の高いもので、中世系図論を進展させるための素材として活用されることが期待できる。 なお、この論文は申請者が共編者となった論集『中世武家系図の史料論』に収録されたが、これは中世系図論の現段階における一つの到達点を提示する成果である。 次に、秋田県公文書館を中心に、秋田県内において分析対象となる系図類の史料調査・収集・分析を進めた。前年度に注目した佐竹氏やその一族によって作成もしくは相伝された系図群に関しては、氏系図・一流系図・家系図といった分類を施し、それぞれの作成目的や相伝実態などについてさらに掘り下げることが可能だという見通しを得た。そのためにはこの課題を新たな研究テーマとして発展させることが必要だという判断に至った。 また、現在、秋田県横手市を中心とした地域史研究が活発化している状況に対応し、中世において当該地方に勢力を持っていた諸氏族の系図類について調査・収集・分析を行った。そのほとんどが近世成立の系図類なので、中世系図論に寄与するためにはさらなる精査が必要ではあるが、東北中世史研究会において研究発表する機会を得た際に、中間報告的な成果を発表することができた。
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Research Products
(3 results)