2008 Fiscal Year Annual Research Report
狩猟故実書の調査を基礎とする日本中世狩猟文化史の研究
Project/Area Number |
18520526
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
中澤 克昭 Nagano National College of Technology, 准教授 (70332020)
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Keywords | 中世史 / 文化史 / 狩猟 / 故実書 / 鷹狩 |
Research Abstract |
鷹狩や狩猟儀礼の故実書について、調査・研究を行なった。方法は、(1)故実書類の調査、(2)調査した故実書類の解読・分析、(3)古記録などから狩猟関係史料を抽出、(4)それらの総合的な考察、である。研究期間最終年度となる今年度は、つぎの2点に重点をおいて、調査・研究を進めた。 (1)16世紀にいくつもの鷹書を書写・著述した持明院家の歴史について考察を深めること。 (2)武家首長の狩猟文化について考察を深め、中世から近世への見通しをたてること。 (1)については、尊経閣文庫所蔵「持明院家鷹口伝」「持明院家鷹秘抄」、静嘉堂文庫所蔵「基盛朝臣鷹狩記」「鷹経辨疑論」などを調査。系図類・古記録類などとあわせて、持明院家の歴史と鷹書の関係を考察した。成果の一部は立命館大学の鷹書研究会例会にて口頭報告した。これまで持明院基盛の著作とされてきた「基盛朝臣鷹狩記」が、基盛の著作ではないことも解明した。 (2)については、尊経閣文庫所蔵「矢開日記」、お茶の水図書館(成簣堂文庫)所蔵「矢開之次第」「矢開事」などの調査をふまえて、武家首長の狩猟について考察した論文「武家の狩猟と矢開の変化」(井原今朝男・牛山佳幸編『論集東国信濃の古代中世史』岩田書院)を公表した。 これまでの主要な成果と、中世から近世への見通しについて、論文「狩る王の系譜」をまとめ、編著『人と動物の日本史<2>歴史のなかの動物たち』(吉川弘文館)に発表した。これにより、室町・戦国・織豊・江戸、各時期における権力と狩猟文化の関係が鮮明になった。
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Research Products
(3 results)