2006 Fiscal Year Annual Research Report
熊野灘沿岸地域を中心とした中世・近世葬送墓制の研究
Project/Area Number |
18520530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
佐藤 亜聖 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40321947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 典彦 大阪大谷大学, 文学部文化財学科, 教授 (80100030)
岡本 広義 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (70261211)
坂本 亮太 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40435904)
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Keywords | 熊野灘 / 中・近世墓 / 墓制 / 村落 / 葬送儀礼 |
Research Abstract |
三重県鳥羽市相差町において、葬送墓制に関する民俗調査・文献史料調査・墓標調査を行った。民俗学的調査では、当地の葬送民俗が、近世的な年齢序列にもとづく地縁的紐帯を色濃く残すことが確認できたほか、大念仏における念仏婆さんのような、女性の地位の高さなどの地域的特色を抽出することができた。 文書調査では相差梵潮寺所蔵文書や漁協所有文書など地域史料を多数確認することができた。梵潮寺文書からは寺院と地域のかかわりを推定させる史料が抽出でき、特に近世末〜近代にかけての地域社会の変化と寺院の関係を明らかにできそうである。 墓標調査では梵潮寺境内の墓標約700基のデータを採取し、データ入力を行った。その結果、天正年間から現在に至る墓標の時期的変化をある程度追うことができた。また、現在埋墓となっている相差墓地の予備調査および一部の測量を行い、両墓性の埋墓に多数の中世石塔が存在することが確認できた。 このほか、調査成果の地元への還元を目的とし、相差町内会館で講演会「相差地域の墓制と文化」を開催した。地元住民約30名の参加を得、今年度調査の成果を説明した。この席において、今回の調査において調査協力いただいた赤川一博氏より、相差神明社の仏像が従来推定されていた室町期のものではなく、平安期にさかのぼるものであることが公表され、話題を呼んだ。
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Research Products
(2 results)