2007 Fiscal Year Annual Research Report
1940年代中国の戦時動員による社会変容に関する研究
Project/Area Number |
18520533
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 Saitama University, 教養学部, 教授 (10196149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 哲 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (80144187)
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Keywords | 東洋史 / 日中戦争 / 戦後内戦期 / 戦時動員 / 食糧徴発 / 徴兵制 / 出征軍人家族援護 / 農村 |
Research Abstract |
本研究の目的は,未刊行の「〓案」史料(行政文書)および地方新聞、稀覯雑誌を系統的に収集・分析し,1940年代中国の戦時動員がもたらした社会変容を,当時の国民政府の拠点であった四川省(日中戦争期および戦後内戦期)と長江下流域(戦後内戦期)の農村部を主な対象として解明することである。本年度の主な研究実績は,次の4点に集約できる。第1点は,研究分担者(奥村)と共著で『銃後の中国社会-日中戦争下の戦時動員と農村』という学術啓蒙書を5月に岩波書店から出版したことである。同書は本研究全体の中間報告であり.,朝日新聞をはじめとして新聞・雑誌の書評欄等に相次いで好意的に取り上げられ,東京・広島などで日本史研究者も参加した合評会が開催されるなど,狭い専門分野を超えた反響を得た。第2点は,日中戦争期中国の出征軍人家族援護事業を初めて本格的・実証的に考察した学術論文を公表したことである。本論文は,当該事業とその矛盾が当時の中国社会にもたらした変容を分析し,戦後の政治的激動との関連を考察している。第3点は,広島史学研究会の年次大会東洋史部会(10月28日)において,戦後内戦期の食糧徴発を正面から取り上げ,49年革命の前提条件を分析した口頭報告を行ったことである。これは上記著書の内容を継承・発展させたものである。第4点は,9月に成都・上海・北京を訪問して本研究の関連資料を調査・収集し,その整理・解読を行ったことである。とりわけ,上海市〓案館での史料収集では,本研究の課題の1つでありながら,これまで本格的に取り上げてこなかった戦後内戦期の長江下流域に関する一次史料を収集した。今後の本研究の発展に有益に生かすことができよう。
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