2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520538
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 直樹 Kyoto University, 人文科学研究所, 教授 (40181903)
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Keywords | 朝鮮 / 植民地 / 住民登録 / 戸籍 / 民籍 / 名前 |
Research Abstract |
日本の植民地支配期の朝鮮における民籍制度(1909年民籍法にもとづいて編製)および戸籍制度(1923年朝鮮戸籍令による)の実態、特にそれらに登録される名前(姓名)のありようを解明するために、韓国の役所に保管されている除籍簿の閲覧に力を注いだ。韓国の研究者の協力を得て、慶尚北道金泉市の面事務所、ソウル市の区庁で除籍簿を閲覧できたほか、済州道西帰浦市の洞事務所に保管されている民籍簿(自治組織としての洞が作成した名簿)を調査することができた。これらによって、民籍編製時期の住民登録の様相、女性などの名前の変化などを解明するための資料を、不充分ではあるが入手することができた。前年度に収集した民籍・戸籍資料、および文献資料と合わせて、それらの資料を分析し、民籍・戸籍制度の変遷、名前の変化の大要を明らかにした。特に、これまで明らかでなかった女性め命名・改名、仏教僧侶の民籍編製、朝鮮人側の対応などを解明する手がかりをつかむことができた。これと並行して、名前に関わる研究の一環として、植民地支配末期に実施された「創氏改名」について政策決定過程、実施過程、さらに朝鮮人側の対応などを分析・考察し、創氏に関しては朝鮮総督府の組織的な強制がなされたこと、しかし他方で朝鮮人と日本人との間に名前の差異を維持する枠組みが残されたことなどを明らかにした。その成果を単行本として公刊した。また、朝鮮人の名前に対する朝鮮総督府の政策を概観した論文を収めた単行本を、一部修正のうえ翻訳した韓国語版を刊行した。
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Research Products
(3 results)