2006 Fiscal Year Annual Research Report
近現代南アジアを焦点とした商業・商人文書の研究-広域ネットワークとその地域接合
Project/Area Number |
18520542
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大石 高志 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70347516)
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Keywords | 南アジア / 環インド洋世界 / 商人ネットワーク / ムスリム / 商標 / アジア間貿易 |
Research Abstract |
本実績報告書の別記11「研究発表」に記載されていない国際学会での発表なども含めて、下記に記す。 18年度には、まず、6月末にオランダで開催された第19回欧州南アジア近現代史学会(European Conference of Modern South Asian Studies)の海洋交易史パネルに参加して、論文"Indian Muslim merchants in the Indian Ocean regions and beyond : Intra-regional networks in strategic association with the state institutions."を発表した。モザンビーク及び南アフリカにおけるインド系のムスリム商人の経済活動と植民地国家との関係を、とくに営業ライセンス制度や人種別の経済階層化などの展開に結び付けて論じたもので、学会誌,Journal of the Economic and Social History of the Orient(Leiden)の近刊に掲載される。また、8月には、海外の研究者も交えて、ヘルシンキで開催された第14回のInternational Economic History Congressに華僑・華人も含めて商人ネットワークに関するパネルを組織し、自身は"Comparative perspectives on Indian merchants' intra-regional networks"を発表した。本報告は、商標という国家制度に、ラベルを通じて広域ネットワークが積極的に接合するあり方を、日本からインドへの輸出マッチの事例を通じて明らかにしたもので、同パネルの成果は、今年発刊の単行研究書に所収される。また、8月末には、ドイツのハンブルグ大学主催の海港都市論に関するワークショップ"Maritime Trade and Trading Metropoles"に参加し、インド=マレー半島=日本(神戸)を結んだインド人商人の活動、とりわけ嗜好性商品の取引とその消費の社会的文脈を、"Reaching Kobe, Japan, along the Chain of Colonial Ports and Settlements"として発表した。成果は今年、ドイツの学会誌に掲載予定である。また、国内誌には「繋がり、広がり、逸脱」と題して、近現代インドにおけるムスリムのウシ皮革・食肉業者のネットワークとそれを抑制しようとする思想・政治勢力の問題を論じた。また、「インドにおけるマッチ産業と女性・児童の労働」は、地場産業な展開を見せて1930年代に勃興したインド南部のマッチ産業を分析したもので、広域ネットワーク的な戦略との比較の対象となるものである。
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Research Products
(3 results)