2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520550
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
土肥 義和 The Toyo Bunko, 研究部, 研究員 (10104746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 章雄 財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (10224453)
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Keywords | 敦煌 / トルファン / 漢語文献 / 出土文書 / 石刻 / 仏教経典 / 供養人題記 / 仏塔 |
Research Abstract |
ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクト・ペテルブルク分所が所蔵する内陸アジア出土文書のmicrofilm全363リールのうち、敦煌・トルファン出土の漢語文献40リールの特性(史料的価値)を明らかにするために、本研究の最終年度は、主として次の(1)〜(3)に関する資料調査と整理とを行った。 (1)大連市・旅順博物館との日中共同資料調査の成果として、トルファン出土の8世紀の漢語文書(1)〜(5)の5断片((1)物価文書:旅博20.1404-2、(2)欠田文書:旅博20.1480-5-7、(3)道教ないし陰陽関係文書:旅博20.1523-13-128、(4)(5)朱雀頭部文書:旅博20.1405-3、旅博20.1407-3)が、龍谷大学所蔵の大谷文書3断片及び橘瑞超文書1断片(すなわち大谷3090((1))、すなわち大谷2905((2))、すなわち大谷3747((3))及び橘III b((4)(5)))と綴合することが明らかとなった。このことは、トルファン出土の漢語文書断片(大谷文書等4断片)が1910年代の断片整理作業の過程で生じたことを窺わしめるものとなろう。 (2)開封市において、北宋の国都、四大勅額寺の1つ、天清寺の繁塔の壁面に現存する石刻資料(供養人題記・仏典題記)と敦煌莫高窟壁画に多数記されている供養人題記とを比較することによって、当時の両地における仏教文化の交流の実情を明らかにするための資料収集を行い、その成果の一部は、「宋代繁塔石刻資料(稿)」として、我々の下記の『報告書』に公刊した。 (3)「サンクト・ペテルブルク東洋学研究所所蔵漢語文献マイクロフィルム(40リール)文献番号・コマ数対照仮目録」のデータベースを完成し、明年には研究者の閲覧に供する。 以上、(1)〜(3)に記した研究調査の概要は、本研究課題の報告書(別冊)、『平成18〜20年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書』(A4判、全108頁、2009年3月)の中で公開した。
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