2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
池谷 文夫 茨城大学, 教育学部, 教授 (00114009)
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Keywords | オットー大帝 / ハインリヒ3世 / ハインリヒ4世 / ヴォルムス協約 / 叙任権闘争 / ローマ遠征 / 神聖ローマ帝国 / 帝国教会 |
Research Abstract |
研究課題「神聖ローマ帝国史の研究」については,平成18年度は,主としてオットー朝及びザリアー朝時代(10世紀前半〜12世紀初め)を中心とする,古典的かつ最盛期の神聖ローマ帝国史及び皇帝史の究明作業を行った。 ドイツ王国成立期からザリアー朝時代までの中世前半期から盛期にかけての時代は,ローマ帝権・帝国理念が極めて強固な時代であった。まさに理念と現実の両方で帝国が優位であった当時の世界において,古代以来のローマ帝国・皇帝権の歴史を,帝国臣民とくにドイツ人たちがいかように理解し,自らの前史ともしていたのか,にアプローチした。また,ローマにおける皇帝戴冠等の画像資料も有力な手がかりとなるので,あわせてこの方面の分析も行った。 歴代皇帝に即して吏資料・歴史遺産の解読・読解・検索を進めたが,ドイツ地域の歴史を中心として,周辺諸国・諸地域における史資料・著作も含めて,諸種の年代記,編年誌,公文書,歴史書,叙事史,絵画・彫刻・図像等から,主として中世前半期から盛期にかけての「神聖帝国」ないし「ドイツ帝国」の政治史・歴代皇帝の事蹟を拾い,併せて古代の「ローマ帝国」から「神聖帝国」もしくは「普遍帝国」への理念的な変化にアプローチした。 以上の研究成果を組み入れて,『神聖ローマ帝国-ドイツ王が支配した帝国-』を執筆した。400字×約200枚分の著書で,平成19年度中に刀水書房の『世界史の鏡』シリーズ中の一書として刊行の予定である。
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