2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520553
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
池谷 文夫 Ibaraki University, 教育学部, 教授 (00114009)
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Keywords | 神聖ローマ帝国 / 帝権理念 / 皇帝戴冠 / 国王選挙 / ローマ人の王 / 皇后 / 王后 / 共治者 |
Research Abstract |
平成20年度の研究では, 昨年度の研究を継続しつつ, 時代としては中世後期(14世紀〜15紀)においてドイツ地域での諸侯・領域支配権と, 理念的・イデオロギー的な中世盛期以来の神聖帝権・ローマ帝権との現実の場における相克の過程を研究対象とした。諸資料・研究文献の厳密な読解に基づく個別の支配者たち(皇帝・ドイツ王及び皇后・王后)の事蹟研究である。 理念的な「神聖帝国」「キリスト教帝国」と現実政治との葛藤を,神聖ローマ帝国史上の王后, 皇后かち光を当てて究明した。中世晩期(15世紀から宗教改革を挟み16世紀半ばまで)の, 「ドイツ帝国」化した神聖ローマ帝国と, ドイツ王=皇帝権の理念と現実の相克の究明にも踏み込み, そこから遡ってオットー・ザリアー朝時代の盛期皇帝権時代の皇后たちの有した財産諸権利及び行使した権力を解明し, シュタフェン朝時に婚姻政策の結果, 后たちの出身分国における「総督」・「代理」権を検証し, 晩期皇帝権すなわち, 帝国の「ドイツ化」に伴い, 政治的現実を背景とするドイツ帝権・王権時代の皇后・王后たちが王権・帝権の「共治者」としての実質を失ってゆく過程を跡づけた。 王后・皇后の称号とその機能・権限についてはは, 神聖帝国の皇帝権の研究の大きな研究対象として捉え, 帝国史全般を見通しつつ積極的にアプローチを行い, ローマでの皇帝・皇后同時戴冠等の事もまえて, 「ドイツ帝国」及びそれを構成する各分国における「共治者」(consors regni et imperii)としての「王后」(regina Romanorum), 「皇后」(Romanorum imperatrix auusta)の業務や治績(「摂政」・「皇帝代理」・「総督」・寡婦資産所有・教会への寄進等)を検証した。その成果は平成20年度学部紀要論文なちびに平成18-20年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究成果報告書(『神聖ローマ帝国皇后列伝』平成21年3月完成)に結実した。
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Research Products
(2 results)