2007 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス及び国際連盟の婦女子売買禁止問題への取り組みに関する研究
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18520556
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
後藤 春美 Chiba University, 国際教育センター, 准教授 (00282492)
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Keywords | 国際連盟 / イギリス / 婦女子 / トラフィキング |
Research Abstract |
本年度は,まず,昨年収集した資料をもとに執筆した論文「国際連盟の対中技術協力とイギリス1928-1935年」を完成させ,服部龍二・土田哲夫・後藤春美編『戦間期の東アジア国際政治』所収の1章として発表した。また,この論文に基づき,11月17、18日開催の史学会第2日目に「国際連盟の社会人道面における活動と日英」と題して報告した。 また,「国際連盟の婦女子売買禁止問題」に,より密接に関連した研究を遂行すべく2次文献の収集,読解等を進めた。平成20年2月19日から3月6日にかけてはイギリスに赴き,主としてイギリス公文書館,大英図書館,ロンドン大学図書館で関連資料,文献の収集につとめ,3月7日に帰国した。 「婦女子売買問題」は非常に多岐にわたるが,今年度,後藤が最も注目したのは,ロシア革命に難民として中国に逃れたロシア人女性に関する問題である。ロシア人難民の中には日本に来た者もあり,そのうち,芸術の素養めある人々が教育面で貢献したことなどが知られている。しかし,難民の圧倒的多数は貧窮状態に陥っていた。国際連盟では,この状況が1931年の満州事変勃発,「満州国」建国以来悪化したと考えられた。一方,連盟は婦女子売買問題に関する調査団をアジアに派遣したが,この報告書はまさに満州事変問題と同時期に連盟で議論された。婦女子売買問題に関する連盟での論は,人権への強い関心に基づく善意によってなされたのであるが,一方で,アジア人の中の白人女性に注目し,連盟に集まった入々の人種意識という限界も垣間見せるものであった。
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Research Products
(2 results)