2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代フランスにおける公共空間における宗教活動と公権力
Project/Area Number |
18520572
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
松嶌 明男 Seisen University., 文学部, 准教授 (20306210)
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Keywords | 西洋史学 / フランス史 / 近代史 / 社会史 / 政治と宗教 / 礼拝の自由 / ナポレオン体制 / フランス革命 |
Research Abstract |
2008年度は前年度のサバティカルによるパリでの在外研究の成果を活かす一年となった。春から秋にかけて、収集済みの一次史料の分析を進めるとともに、継続して二次史料の読解とフランスでの研究動向の把握を行った。パリ第一大学のフランス革命研究所所長がジャン=クレマン・マルタンからピエール・セルナに世代交代したことに象徴されるように、フランスの学界でも世代交代が進んでいる。それは同時に、革命史研究でこれまで軽視されてきた宗教活動の社会史に目が向けられるようになったことと、総裁政府期の政策的試行錯誤が研究対象となったことも意味している。本研究の意義は世界的に見ても大いに高まっているといえる。秋から、これまでの研究を総括するため、一つの口頭報告と二本の研究論文を作成した。まず、このテーマの研究動向と利用可能な史料の分布を明らかにする口頭報告を用意し、本務校の人文科学研究所が定期的に開催している研究懇話会で発表した。これは、人文科学研究所紀要に投稿を志す者に対し、査読に準ずる措置として、学際的なメンバーの学問的関心による審判の場として設定されているものである。多くの参加者を得て、活発な質疑応答が行われ、準備中の論文は紀要の掲載に値するとの評価を受けた。また、この場で受けた指摘は投稿した論文の内容に反映されている。次に、夏に分析した一次史料の中で、残存する量が少ない修道院の銅器類(特に什器類)に注目して史料紹介論文を執筆した。フランス語一次史料の校訂と活字化、日本語への翻訳を行い、さらに史料の歴史的意義を分析して論文にまとめ、査読のある本務校併設のキリスト教文化研究所紀要に投稿した。これは本務校がスペイン系修道院設立によるものであることもあり、学内で高い学問的かつ学際的な関心を呼んだ。なお、2008年度は研究業績の発表の場に本務校とその紀要を選んだが、2009年度は学外に向けて業績を発表する予定である。
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