2007 Fiscal Year Annual Research Report
9・10世紀の東フランク・"ドイツ"王国における政治構造とエトノス生成
Project/Area Number |
18520573
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
三佐川 亮宏 Tokai University, 文学部, 准教授 (20239213)
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Keywords | 東フランク王国 / ドイツ王国 / エトノス生成 / 起源説話 / ゲルマン人 / フランク人 |
Research Abstract |
本研究計画は、9〜10世紀の東フランク"ドイツ"王国における政治構造とエトノス生成の諸相の特質を、主として政治・国制史および社会人類学の視点から解明することを目指すものである。平成19年度の研究では、(1)関連史料箇所の調査・収集。(2)得に重要と目される史料箇所についての詳細な検討に研究重点を置いた。 (1)については、9〜10世紀の東フランク・"ドイツ"王国における政治構造やエトノス生成を考察するための基本史料の調査・収集に努めた。国内の取次店やドイツの古書店を通じて入手可能な文献は、物品費で購入した他、不可能な文献については、南山大学のカール・F・ヴェルナー文庫や、一橋大学、慶応大学の図書館での調査・収集をおこなった。また、校務で10日間滞在したベルリン・フンボルト大学においても、中央図書館および歴史学科図書室で集中的な作業に従事し、期待以上の成果を得ることができた。(2)については、9〜10世紀の東フランク"ドイツ"王国におけるエトノス生成を、関連史料(『フルダ編年史』、ヴィドゥキント・フォン・コルヴァイ『ザクセン史』他)を対象に検討を加えた。その際、通例の史料解釈と並んで特に問題となったのは、20世紀、特にナチズム期における研究史を同時代の政治イデオロギーとの関連において整理する作業であった。その成果の一端については、敢えて中世史ではなく、菌現代史研究者を対象とする「近現代史研究会」の場で報告し、貴重な批判や意見に接することができた。また、別の観点からではあるが、先年刊行したH・トーマス『中世の「ドイツ」』との関連で、『創文』誌上で短いエッセイを発表する機会に恵まれた。
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Research Products
(2 results)