2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
定森 秀夫 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (90142637)
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Keywords | 考古学 / 新羅 / 対外関係 / 半島統一 / 陶質土器 |
Research Abstract |
1.倭出土の新羅系遺物の調査 島根県松江市美保関出土脚付長頸壺・同隠岐珍崎出土蓋・三重県鈴鹿市出土蓋などに関しては、慶州地域のものではなく、新羅の別地域の製品の可能性が高いことを確認。また、鈴鹿市上箕田遣跡出土蓋は新羅系ではなく、百済系の可能性が高いことを確認。新羅系遺物の一部に関しては、新羅の中心地域である慶州とは別の新羅地域から搬入されたことが考えられ、倭と新羅との交渉には中枢同士のそれとは異なるルートもあったことが想定できそうである。最近、大阪府や福岡県などで新出資料が増えつつあるので、上記の想定を念頭に、来年度以降も当初の年度計画の中に、倭出土の新羅系遺物の調査も若干組み込んで継続調査していきたい。 2.新羅出土の倭系遣物の調査 慶州博物館での調査は都合によりできなかったが、慶尚道の博物館・大学博物館をいくつか訪問し、展示品・収蔵品の観察・撮影などを行い、韓国の研究者からいろいろな教示を受けるとともに意見交換も行った。中でも、嶺南大学校博物館で、京都府弥栄町奈具岡北1号墳出土2段上下垂直透孔高杯と酷似のものが大邸の遺跡から出土していることを確認したことは成果であった。奈具岡北1号墳の高杯は、従来加耶系と考えていたが、類例を韓国に求めることができていなかった。新羅地域の大邱で酷似のものが出土していることで、透孔形態は加耶系ではあるが、新羅地域で生産きれた可能性が高いことが分かった。また、嶺南文化財研究院では、大邱新塘洞窯跡で4世紀末から5世紀初に上下交互透孔の新羅系、上下垂直透孔の加耶系を一緒に焼成していたことを詳しく教示してもらったが、遺物に関しては国立博物館へ移管していたため、残念ながら実見することはできなかった。 3.文献収集調査 滋賀県立大学田中研究室で、韓国の発掘調査報告書に関する文献調査を行い、当研究に必要な関連部分の複写などを行った。
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