2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520585
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩永 省三 Kyushu University, 総合研究博物館, 教授 (40150065)
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Keywords | 考古学 / 弥生時代 / 古墳時代 / 社会構造 / 国家形成 / 墳丘墓 |
Research Abstract |
1. 本年度には主として祭祀・儀礼関係の資料を収集した。各地の遺跡の報告書から、本研究の目的に必要な情報を網羅的に収集した。特に研究上重要な資料については、所蔵・保管先に直接出向いて、実測図作成・写真撮影などの手段で記録化した。祭祀・儀礼の機能・様態を研究対象とする諸学、すなわち文化人類学・民俗学・歴史人類学などにおける研究成果を、特に方法論のレベルで摂取するために、基礎的文献・論文等を日本語・外国語を問わず広く集成して内容を検討し、本研究への活用の方策を検討した。2.社会の政治的統合の進行に際して、集団の広域統合化祭祀がはたした役割を、弥生時代後期から古墳時代初頭を対象に検討した。その結果、弥生時代後期以降の絞り込み顕在型墳丘墓の出現は、各地域における青銅器祭祀の終焉と一連の現象であることが判明した。青銅器祭祀は、ある程度の広域をカバーする集団群の再統合・統合化促進儀礼であった可能性が強い。それに対し、特定墳丘墓型式の広がりは、威信財の入手と分配を掌握した有力首長との連携関係を中核とする首長群ネットワークの範囲を示す。弥生後期から終末期にかけて、集団内・集団間での様々な軋轢・衝突が激化していた集団群の再編成と統合は、同族原理では果たせず、調停・調整など高度な集団統合能力を有し、その維持・継承を果たした集団が優勢そうした指導力を有する析出集団やその長への求心化と崇敬が旧来の集団性を背後に押しやることとなった。他方で農耕祭祀は、祖霊祭祀と統合・吸収されて消滅したのではなく、祭器と斎場を変えて継続したとの結論を得た。
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