2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520590
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
酒井 清治 Komazawa University, 文学部, 教授 (80296821)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 手工業生産 / 須恵器生産 / 流通 / 群馬県 / 金山窯跡群 / 菅ノ沢 |
Research Abstract |
本年度は大学院生2名を研究協力者として、群馬県太田市金山窯跡群の整理を継続した。昨年度整理作業を行った辻小屋、八幡、入宿の窯跡群の報告書を、『群馬・金山丘陵窯跡群1』として駒澤大学考古学研究室から5月24日付で刊行した。本文148頁、写真図版42頁となり、倉田芳郎先生と調査を行った坂諾秀一先生に序文で発掘に至る経過を明らかにしていただいた。発掘調査後41年目の刊行である。 その後も菅ノ沢窯跡群の須恵器実測を継続し、拓本、写真撮影、トレースを行った。しかし、菅ノ沢窯跡群の窯跡はイ号からト号の7基であり、灰原の製品も含めるならば膨大な量であったため、今年度末まで継続した。また、並行して第1次から第11次調査までの遺構図面を整理し、各遺構の図版作成に入った。 このような整理作業で判明してきたことは、出土遺物が辻,小屋、八幡、入宿窯跡群と同様、やはり大甕主体であることが判明し、特にロ号窯跡は天井が操業時に落ちていたようで大甕の形態差を知ることができる良好な資料となった。また、遺構についても一般的に窯跡の焚口の手前は傾斜して灰原につながるのであるが、菅ノ沢窯跡群では当時の地形が焚口から平坦であったため、焚口前に前庭部を掘り下げ、そこから平坦面に排水溝を掘り傾斜面まで延ばしていた。これは窯跡群の中に固い岩盤の手前で掘りかけて放棄した未完成の窯が存在することと関係し、砂岩の固い岩盤にトンネル窯を掘っているため、地形・地質的な制約によって、今まで類例の少ない前庭部の構造になっていたことがわかった。 来年度は本年度の整理を継続し、菅ノ沢窯跡群の報告書を刊行する予定である。
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